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嘘つきは本当に得をするのだろうか。ゲーム理論を学んだら答えが分かってきた。

嘘喰いLiar Gameデスノート

僕が大好きな漫画達であり、これは痛快な心理戦・騙し合いを描いた作品である。

 

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カリカリ梅をドヤ顔で開けるのが爽快な漫画)

 

他人を欺くのは古くからの人の性であり、それを体系的にまとめたゲーム理論という学問がある。集団のメカニズムを学びビジネスにもつながる極めて有効な学問なので、お伝えしたい。

 

<ざっくり見出し>

 

1) 公共財ゲームから学ぶ、フリーライダーのぶっ潰し方

 

<公共財ゲームとは>

簡単に言うと年金をイメージ頂きたい。

プールした資金に対し、出資していない人間含む全員がリターンを得られる状態。

 

・一口10万円の出資でファンド総額×1.2が村人全員に支払われるファンドがあるとする。

・村人は10人とする。

 

最適なケースは

10人×10万円=100万円を原資に運用

100×1.2=120万円を10人に分配

一人あたり12万円の支払いを受ける

 

というもの。

 

一方で、8人しか村人が出資しなければどうなるか?

 

10万円×8=80万円を原資に運用

80×1.2=86万円を10人に分配

一人あたり8.6万円の支払いを受ける

8名の最終利益:8.6万円-10万円=△1.4万円の損失

2名:8.6万円-0円=8.6万円の利益 

 

この2名を自分はリスクを取らずリターンだけ得ている「フリーライダー」と呼ぶ。

このゲームで最もリターンが高いのは、フリーライダーなのである。

もし出資者が0人だったとしても、リターンが0になるだけで、彼らが損をすることは絶対にない。

 

フリーライダーは少なからず発生するが、ゲームを重ねるにつれ、フリーライダーは増えていく。

参加しているプレーヤーが、真面目に協力するメリットがないと気づいていくからだ。

そして更にゲームを続けるにつれ、いつしかフリーライダーの割合が組織の過半数を超える。これが腐敗した組織である。

 

 

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(現実世界を見渡しても、フリーライダーは多い。ネットサーフィンばかりしている社員や、謎の中抜き業者等)

 

どうやればそれらを改善できるのか?対策は2つある。

 

①ルールを変えること

今回の例であれば、出資者のみがリターンを得る仕組みにすれば機能する。

 

②処罰すること

今回の例であれば、出資しなかった人間に対し、出資しなかった氏名を公表するなどの

人間関係に支障を来す処罰を与える。

 

実体験でいうと処罰に乗っ取る組織は、極めて閉塞的で減点主義となる。

ゲームのルールを変えるのが良いだろう。

 

その際はフリーライダーは無くならないという前提を理解し、性悪説に乗っ取りルール設計をするのが肝要だ。

 

楽して儲ける手法があれば、一瞬で組織に拡散する。それが市場原理というものだし、人なんて弱いものだという理解をしよう。

 

 

2) 最後通告ゲームから学ぶ、合理的な意思決定の重要さ

 

 

<最後通告ゲームとは>

決まったパイを分け合うゲームである。

2人のプレーヤー間で、Aが分配割合を提案。Bが提案を受けるor拒否する。 

拒否した場合は、A,Bともにお金を受け取れない。

 

 

・100万円の山分けの割合をA,Bで決める。

 

Aが60:40で提案

Bが承認

Aに60万、Bに40万の資金が手に入る。 

 

ここでのポイントは、「Aはどんな割合で提案をするのか?」ということだ。

 

合理的に考えると、99:1の提案を受けたとしても、

Bは1万円を貰える訳であり、拒否した場合の0円よりはリターンがある。ないよりはましだ。

そのため、Aは極めて有利なポジションにいる。70や80の割合で提案をふっかけても問題はないのだ。

 

ただ、Bの立場に経つと、極めてこれは胸くそが悪いw

相手が90万もらっているのに、こっちは10万円だけとか頭に来るし、いっその事お互い0円で終わらせようと思う人も出てくるかと思う。

 

ただ安心してほしい。

実際のゲーム結果では、60~50の間でAの提案は帰結するようだ。

つまり、人間は公平性を極めて敏感に感じ取り、時に不公平なものに対し非合理な行動を取りうる。

そして誰しもそれを直感的に理解しているということだ。

 

だが、実社会ではどうだろう?

同じ時間働いていたとしても、部署の利益は等分で利益に反映されているだろうか?

世の中なんて不平等なもんだ。

 

平等性という倫理観が重要なのは100%疑問を挟む余地はないが、実世界で稼ぐことを考えると、不平等や不条理を飲み込むことも必要になる。

 つまり、このゲームで1万円でももらえるのであれば、その提案を飲むという選択だ。

感情を切り離し合理的に判断することが株式投資でもリターンを高めるし、ビジネスでも最も重要な要素になる。

 

 

3) 人間の良心はどこまであるのか?

 

話は変わるが、アメリカと日本の寄付金の差分はいくらかご存知だろうか。

個人でいうと100倍の金額が寄付されている。

アメリカ22兆9,920億円、日本2,189億円 )

※出所:平成17年内閣府税制調査会資料

 

確かにチップ等の文化はアメリカに深く根付いているし、payforward文化が強い。

 

だが我々日本人も3.11の振る舞いで賞賛されたように、元々日本人には強い倫理観があるし、互いに良心だけで支え合うことが出来る人種であることは間違いないし、

時に身を投げ出して相手のために働きかけることが出来る。

 

要はどの人間にも「他者のために身を挺す」という感情は美徳として刻み込まれているのだろうし、群れ全体で考えた時に、協力しあえる集団が生存率を高めるのは間違いがない。

 

ただ一方で、利他と利己と相反する側面が同居しているのも事実であり、

片方の自分が判断をすればもう片方の自分に矛盾が生じる。

 

そんな矛盾を抱えた存在だからこそ日々葛藤をするし、それこそが生の実感であるように思う。

みたいなことを思うので、心理描写は大好きです。

 

では、また。