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<破産会社の叫びを聞いた>

少し肌寒くなってきた秋の日、僕は人生初の債権者向け説明会に参加した。

 

うちの会社の顧客でもあったベンチャー企業は、かつて無いビジネスモデルで売上を数十億規模で伸ばしているとあったが、裏側では火の車であったらしい。

 

 債権者説明会というのは簡単にいうと、破産する社長が監督人の監視のもとに、破産した経緯、および債権の支払い予定を関係者に説明する場である。というのは建前で殆どは金融機関が低当に入れており、この説明会というのは事実上「あなたにはもうお金を返せませんし、返せる予定は当面わからないです。無いものは無いんだから」という通知であることが大半だ。

 

(こういうの見たかったけど無かった)

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 法人というのは便利な仕組みだ。そこに雇用形態のあるサラリーマンは、時間以外の対価を支払うことは殆どなく、未収債権があろうが、我が家が差し押さえられるような契約になっていないわけで、そこに対しての担当者はぶっちゃけ当事者意識が少ない。

現に説明会には、社内説明用のために事実確認だけしに来たようなサラリーマンもいたように見えた。

 

 そういうわけで、社長の杓子定規の謝罪、弁護士からの事実・経緯の説明、債権者からの質問、それを見守る無言で見ている監督人、という形で、債権者説明会は終始淡々と進んだ。

我が社は幸い事前にある程度債権を回収できていたので、未収債権額としては少なかったのだが、3つほど前の席座っていた20代の若者が手を上げて質問をした。

 

彼は、

破産会社の従業員であった。

 

 

聡明そうな受け答えをしている彼は、感情的にしても負けゲームであることは承知しているのだろう。淡々と伝えた。

 

「いつ、僕たちの給料は支払われるのでしょうか」

 

ここに、ダイレクトに人生に被害を被っている人が確かにいた。

 

たまたま入社した会社が違うだけで、彼と自分の立場が逆でもおかしくはない。

明日は我が身であるし、社会はサバンナなのだ。

 

そして サバンナにて、100年々程は生き抜かないといけない時代に我々は生きている。