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中学レベルの数学力で統計が理解できる名著のススメ

年末年始は、積ん読(つんどく。とりあえず買って放置してしまっていた書籍)を消化している。

 

普段仕事ではそこまで使用しないが重要な「ビジネス教養」と言われるものは沢山あって、知っておくだけで考えの幅が大きく広がる。

・会計

ファイナンス

・統計

・法律etc

 などは、専門部署でないと専門的に使用するケースが少ないと思うが、大局を見て意思決定を行う立場になると流石に避けて通れなくなってくるらしい。

 

で、今日は統計のすごさについて語る。

(統計は意思決定をする上で極めて重要な要素であり、早めに勉強しておけばよかったと後悔。。)

 僕はそろばんを学んでいたこともあり四則計算は苦手ではない。だが微分積分などに入る頃には、全くついていけずに受験で数学を使用しなかった人間であるw

 

その延長上で統計には苦手意識が強かったのだが、これは名著であった。

「完全独習 統計学入門」

(クリックするとamazonに飛びます) 

 

この著書では 、僕のように数式に吐き気を催す人であっても

・平均値と偏差の違い

・σの考え方

標準偏差の考え方

・偏差と平均値をもとにした想定される株価の価格帯算出

・リスク/リターンの最適値の求め方

 とか簡単に分かる。

 

 

平均値と偏差の違いと、その値の活用法

例えば下記のようなケース。

・あるバス停にバスが1日に2回来る。

Aバス:時刻表より10分遅れて着く

・Bバス:時刻表より10分早く着く

 この場合だと、

■平均値=合計÷バスの本数

{10-(-10)}×2=0

 

■偏差=平均値とバスの到着時間のずれの差分

A:0-10=ー10

B:0-(-10)=10

 

となる。で?という話なのだが、実生活においてここからが重要で、

「だいたい、あのバス停は何分くらい毎回遅れるなー」という値が知りたい。

つまり、「前後にどれくらいずれる」という見積もりは実世界において、非常に重要な示唆だ。

待ち合わせにおける交通機関の遅延、プロジェクトにおけるリカバリーの余裕期間、株の売買における指値etc・・

ブレ幅を正確に見積もって、 その範囲内で対処できるよう行動を取れば、人生は確実に好転する。

 

上記例だと、「前後10分遅れるから、余裕を持ってバス停に10分前についておこう」というのが一瞬で分かる。

一方現実世界だと、大量にデータがあり暗算が不可能だからなんとなくで行動をする。

 

で、なんとなくで行動しないよう、ブレ幅を見積もるツールが標準偏差である。その計算式を簡単に記しておく。

(当たり前だが、10分間バスのずれがあることが分かる)

 

■分散=各項目の2乗の合計をバスの本数で割り戻す

{(-10)2乗+(10)2乗}÷2=100

標準偏差=分散の平方根を取る(2乗したら分散になる値を出す)

√100=±10

 

標準偏差がどれくらい信憑性のある値か=σ

 で、先程のように±10というように求められた値は、σ(シグマ)として、「将来的にどの程度発生しうるか」という指標になる。

話を簡単にするためにサンプルをバスの本数=2とおいているが、本数としては不十分だ(有意ではない)。統計においてはサンプル数が重要なことを記したい

 

で、冒頭に求めた平均値を中央において(μと記載)

±1σ 68.26%

±2σ 95.44%

±3σ 99.74%

の確率で起こりうる。

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つまり、冒頭のバス停の例だとこのように言える。

±1σ(±10分遅れ以内)は68.26%で起こる

±2σ(±20分遅れ以内)は95.44%で起こる

±3σ(±30分遅れ以内)は99.74%で起こる 

 

実世界において「ほぼ確からしい」という値は、±2σの水準で十分なので、見積もりにおいては、その程度の水準の値を出しておけばよい。

 

標準偏差と確率の話 

株のテクニカル分析における「ボリンジャーバンド」は、この統計をそのままチャートに表示させているものだ。

 

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ボリンジャーバンド。μ=中心線

だが、このボリンジャーバンドは、当然外れることもある。(チャートにおいて、±2σのラインを超えているケースが結構あることが分かる)

それは何故かというと、「統計は過去の値を元にした数値であり、過去の前提が将来続く限りには、精密な将来予測が可能」

ということだ。

言い換えると、「将来的に前提が異なると、標準偏差の予測の精度は落ちる」

とも言える。

 

特に株式においては、市場環境は目まぐるしく変わっており、常に最新の動向を参照する必要があることから、ボリンジャーハンドは以外と外れるケースがある。

 

なので言えることとしては、

統計=過去から現在までの事実

確率=現在から将来の想定

という2つを切り分けた上で、「統計を基本の意思決定の重要な材料と置きながらも、それは将来の確率を担保すべきものではない」というスタンスが必要だ。

 

皆さんにおかれては、どの業界のどの時期の統計を参照するかによって前提はまちまちと思うが、まずは過去の値を精密に調べることから全ては始まるということが良くわかった。