日本企業からgoogle,facebookがでないのは株主に責任がある
(yahoo financeランキング抜粋)
1位のappleは110兆円である。
一方、日本トップのトヨタの時価総額は22兆円で、アメリカのランキングに直すと28位程だ。
※昔は楽天がamazonと比較をしていたが、今や時価総額では80倍以上
何故これほどまでに時価総額が異なるのか?
当然規制やエコシステムに寄る部分も大きいが、株主のリテラシーが日本とアメリカでは全く違う。
<ざっくり見出し>
1) 株主配当に囚われる日本人
株主優待と並んで、株主配当にこだわるのは日本株ならではの特徴だ。
(優待は、その企業の商品など。配当は金で還元)
例えば
A:毎年3%の配当をしてくれる企業
B:無配当の企業
があったとして、あなたはどちらに投資したいだろうか。
答えは、それだけでは分からない。
株価の値上がりについては最も考慮すべき点であり、
A(配当金+値上がり)< B(値上がり)であればよい訳だ。
で、さらに考えるべきなのは、「もらった配当金を自分で運用するか、会社が運用するか、どっちがリターンが高いの?」ということだ。
例えば、世界屈指の投資家ウォーレン・バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイは無配を貫いており、株主総会で毎年この質疑応答があるらしい。
株主:「なんで配当金だしてくれないんだ?」
バフェット:「もらった配当金で何を買うんだい?」
株主:「うーん、食事とか、車買う足しにするとか」
バフェット:「やめておけ。その金を俺に預けておいたほうが、上手く運用できるから」
みたいな流れ。
結局は、配当金を受け取ったとしても、「何にその金を使うのか?」が必要で、投資リテラシーが無いと死に金になるのだ。
実はファイナンス的には配当しても無配であっても企業の価値は変わらないのだが、下手くそな投資家は信頼できる経営者に金を預けて、本業や自社株買い等で再投資してもらう方が割が良い。
※GAFAでappleを除く3社は無配。成長性の高い企業は無配の方が良いと言える。appleは時価総額が世界一に近づいてきたタイミングで、ようやく配当を出した。
ちなみに日本株はようやく配当性向(純利益からの配当の割合)が3割程になりアメリカ並みとなったと喜んでいたが、実は自社株買い含めた時の株主への還元(総還元性向)は、まだまだアメリカにも及んでいないのが事実だ。
かといって、大塚家具のように本業が回っていないのに配当で株主をつなごうとして経営が立ち行かなくなるようなら本末転倒だ。
(大塚家具は一時配当性向415%を出していた。利益の4倍の還元である。事業投資せずにキャッシュをキリッ崩して株主に還元し、本業が上向く訳がない)
結局、配当や総還元性向も株主にとっては重要な指標であるが、あくまで成長する株を見極めるという必要がある。
amazonは、ひたすらに赤字を流しながらロジやAWSといった事業の深掘り・CCR(キャッシュ・コンバージョン・サイクル。運転資金がどの期間必要かという数値)の改善に金を突っ込みまくっていた。
2) 毎月配当投資信託という商品の闇
投信の預かり高上位には未だ毎月分配型が名が残っているが、結局前述の通り、分配すること自体は企業の価値を変えるものではないとおわかりだろう。
むしろ、毎月も分配するとなると、その分の運用コストがファンドのパフォーマンスを下げる。
それでも根強い人気を誇っているのは、顧客の中心層である後期高齢者の年金補填の目的だ。
要は、「お給料を毎月もらえるという習慣が急になくなる」その恐怖をごまかすのだ。
合理的に考えると、そもそも運用せずとも毎月決まった金額を普通預金から自分で引き出しに行けばいいだけだ。
ファンドの分配金も結局普通預金に振り込まれる訳で、引き落としをするというプロセスは変わらない。
だが、現役時代にマネーリテラシーや資金管理を学んで来なかった個人投資家達には、年金を補填する最高の商品に映ってしまう。
残念ながら信託報酬で年間2%弱、購入時に3%強も手数料が取られているため、その点で既に不利だ。
投信は初期費用も高いし、毎年2%弱は投資元本が減ることが確定の、極めて不利なゲームだ。まじでインデックスファンド買う方がよい。
そして、もし元本が回復してきたら、そろそろ乗り換えで〜と言って、また購入時3%の手数料を払って、別の投信を買わされる。
こちらは、今年6月頃に金融庁が調査した、投資信託の不都合な真実である。
金融庁が求める共通指標は(1)運用損益別にみた顧客の割合(2)預かり残高上位20商品のコストとリターン(3)同リスクとリターン――の3つ。主に設定から5年以上の投信が対象で、毎年3月末を基準日として金融機関に自主的な公表を求める。算出にあたり、コスト評価は販売手数料と信託報酬を合算、リスク評価はリターンの変動の大きさを測る。
共通指標の導入に先立ち、金融庁は都銀や地銀計29行が販売した投信の運用成績について分析。運用損益がマイナスの顧客は46%と半分近くに上った。
投信の運用成績「見える化」、金融機関に共通指標 :日本経済新聞
3) どの年代にもアホな株主が多すぎる。yahooファイナンス掲示板を見てみよう
毎月型の投信は主に定年後の方々だが、現役で働いていると見られる人々の主戦場はネット証券だ。
そこを使える時点でコスト浮くのでかなり有利なのだが、その掲示板を見ると2ちゃんねる顔負けの書き込みが連なっている。
金が絡む×匿名というのは、人の醜い面を最大に見せてくれる。
ぜひ一度見てほしい。
ここで共通しているのも、目先の配当や業績へのコメントだ。
今までの話をまとめると、日本の投資家は近視眼的な要望が多すぎるがゆえ、経営者としても長期的な大胆な投資を出来辛いのだ。
※もちろん、有利子負債をマックスでレバレッジかけるソフトバンクや、赤字を垂れ流してabemaを垂直立ち上げするサイバー等、イケてる経営者も多いがそれは一部。だ
経営者が配当や目先の業績に囚われず、5年後の企業の本業の成長に目を向けることが出来れば、結果として投資家のリターンも高まる。
前述のamazonを思い出してほしい。
目先の成長や配当で小銭を手にしたところで、その金を何に使うのか?
個人投資家はそれを常に頭に置くべきであり、結局餅は餅屋である。
信頼できる会社を見極め、そこに託すのが一番と思う。